壊れていくRGザク「ABS樹脂への塗装」

壊れていくRGザク「ABS樹脂への塗装」

作成中のRGザク。最悪な状態になっています。混合樹脂整形のBパーツがどんどん折れていく。Bパーツは関節部分のABS樹脂です。関節部分に異なる成分を流し込む事で、関節稼働させる仕組みですね。

 

 

 

 

ABS樹脂が折れる原因

調べてみると、塗料に含まれる溶剤(有機溶剤)がプラスチックに浸み込んでヒビや割れを起こす、いわゆるケミカルクラックだそうです。ABS樹脂は、本来折れにくい素材ですが成形条件が悪かったりすると物性劣化します。

簡単に言うと、エアブラシの場合薄め液で塗料を薄めてから使用します。この薄め液がABS樹脂に浸透してしまい、折れる原因となるようです。

筆塗り塗装の場合、薄め液を多用しませんのでここまでポロポロと折れる事はありませんが、それでも劣化はしてしまいます。

 

 

ABS樹脂に塗装する際の対策

エアブラシの場合、塗料の延びを良くするために塗料の希釈が必須となりますが、極端に塗料を薄めるとパーツが溶剤(薄め液)に直接さらされる事になるので良くありません。

あまり希釈しないで、粉末状にブラシ塗装を行う。もしくは、薄めの塗布を何回かにわけて塗ってます。生地に塗膜が乗ったら多少はその塗膜がガードしてくれます。

テンションがかかりそうな所は、お湯につけて養生してから塗装すると良いとの事です。(理想はは90~100℃くらいで二時間くらい養生)

間接部を動かしてみて、ABS樹脂がチョットでも白くなったら危険サインです。こうなったらグリスアップ等を行い、パーツに負荷が掛からない様にしましょう。

 

 

バンダイ:お客様からのお問い合わせ

バンダイの問い合わせページにも回答が載っていました。

●PGシャアザクを作っていますが、皆さんは、見えない内メカは塗装しますか?

相談センターの回答
上級者の方の中にはフレーム部まで塗装をされる方がいらっしゃるようです。ですが、PG1/60スケール「シャア専用ザク」をはじめ、「PG」、「MG」シリーズでは、フレームの成形原材料に通常のPS(ポリスチロール)以外にABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)をメインで使用している商品が多数ございます。ABSは通常のラッカー系といわれる塗料の場合「薬剤性劣化(樹脂が塗料の用材に侵され劣化すること=樹脂がもろくなること)」を起こす恐れがあります。塗装の際は安全な水性カラーをお勧めします。また、墨入れもエナメル形の溶剤はPS、ABSどちらについても薬剤性劣化が起こりやすいのでおすすめできません。墨入れの際は、ガンダムマーカーの墨入れペン等をお試し下さい。

 

 

 

最後に

今回はRGガンプラの為、ABS樹脂部分が多く、この様な状況となってしまいました。普段HGガンプラを作っており、PCパーツに塗料も掛かっているはずですが、現象は出ていません。PS+ABSパーツに原因があるのか、ABS樹脂部分の量によるのかは判りませんが、RG、PG、MG等には注意をしておいた方が良さそうです。

 

ザクのその後

結局、このザクはジオラマにして誤魔化しました。

ザク&廃墟ジオラマ「放置されて朽ちたザクⅡ」

 

分かった事、追加

分かった事①

1/100 MGザクを作ることになりました。MGですので、フレーム部分は全てABS樹脂。これは困りますね。と言う事で、ドライブラシで金属色を塗装。外装部分は別にラッカー塗料で塗装し、全体に塗装しなくてはならないトップコートは水性塗料で塗装しました。これが一番良い方法かもしれません。

ザク「ギョウ専用ザク」競馬ネタで大和屋勝負服カラー

 

分かった事②

1/144RGザクを作成しました。ドライブラシで金属色を塗装。外装部分は別にラッカー塗料で塗装し、トップコートも全体にラッカー塗料で吹き付けました。心持ち濃い目の塗料にし、遠めからブラシを行い無事に塗装できました。溶剤(有機溶剤)が浸透しない加減が大切な様ですね。

 

分かった事③

エアブラシでABS樹脂への塗装を行ってみました。先述した通り、あまり薄めず&遠目からの吹付を行っていますが、薄め液にも問題があるのではと感じています。Mrカラーレベリングうすめ液を使っていたのですが、通常のMrカラーうすめ液だとクラック現象は出ていません。Mrカラーレベリングうすめ液は、塗装の延びを良くする為に乾燥遅延添加剤(リターダー)が入れてあるのですが、これがABS樹脂への溶剤(有機溶剤)染み込みを起こしやすくしているのかも知れませんね。

  • あまり薄めず
  • 遠目から吹付
  • 通常の薄め液

これがポイントの様です。

 

ABSパーツ塗装をウェザリングでカバー

●ロービジ迷彩「ユニコーンガンダム」ABSパーツ塗装をウェザリングでカバー
ABSパーツを全面塗装せずに、ウェザリングでゲート跡を塗装した方法です。

ロービジ迷彩「ユニコーンガンダム」ABSパーツ塗装をウェザリングでカバー

 

ABS以外のパーツが折れた場合

塗装したら、動力パイプ等のABS樹脂以外のパーが折れたと言う場合は、こちらをご覧ください。

墨入れとウェザリングに便利「Mr.ウェザリングカラー」

 

その他のザク

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