【徹底解説】ウェザリング②~各種ウェザリングに合わせた手法~

【徹底解説】ウェザリング②~各種ウェザリングに合わせた手法~

プラモデルへの汚し塗装、ウェザリングをしたい。ツールを買ってもどう使えば、塗装剥げ・錆・埃・泥・油が出来るのか難しいですね。今回は表現したい汚れ毎に合わせたウェザリング塗装方法を説明します。

ウェザリング解説の第2回目。第1回を読んでない方は、こちらをご覧ください。
前回はウェザリングに使用するツールについての説明を行いました。今回は汚れに合わせたウェザリング手法を説明します。

 

ウェザリング手法

手法に応じた効果を表にしました。こうやってみると意外と少ないものですね。

手法効果
筆塗り中~大サイズの塗装剥げシルバー系、塗装下地色
中~大サイズの錆Mr.ウェザリングカラー・ラストオレンジ薄い錆
Mr.ウェザリングカラー・ステイブラウン濃い錆
ウォッシング薄いウェザリングの表現。垂れやムラに最適。
ドライブラシエッジ部分への小傷
スタンピングスポンジ小さい塗装剥げ
エアブラシ退色効果。塗装の日焼け表現。
黒立ち上げ塗装(Max塗装)パステルシャドウと同等の効果。更にエッジの効いた風味となる。塗装方法であり、ウェザリングとは言わないとの話もある

 

ウェザリングのコツ

ラッカー、アクリル、油性、水性の塗料種別。それに応じた順序をを理解して使用してください。これは必須となります。第1回に記載しています。

そして、面倒ですがウェザリング前にはトップコートをしておくとコントロールしやすいです。ウェザリングは汚れの情報量を増やす事で一層のリアル感が出ます。複数のウェザリングを行う場合、都度でトップコートを行っておけば、行ったウェザリングを守る事ができます。レイヤーを重ねるイメージです。

汚れに関しては、Mrウェザリングカラー等のウェザリング塗料を、塗ったり拭いたりボカしたりして、自分のイメージに仕上げます。

・綿棒でウェザリング塗料を延ばす → 垂れに使用
・ティッシュでウェザリング塗料を延ばす → ボカしに使用
・指でウェザリング塗料を延ばす → 垂れに使用
・Mrウェザリングカラー薄め液を使い、ウォッシングを行う → 薄いウェザリングに使用

等の色々な事を行いながら、自分のイメージに近づけます。何度も言いますが、これには都度でトップコートを行う事が前提です。トップコートしておかないと、色々とウェザリングしている内に元のウェザリングが消えてしまいます。

まずは色々とやってみて、自分なりのウェザリングに適した手法と塗料を覚えていきましょう。手法は色々とあるので、自分に合った方法を見つける事だと思います。正解なんかありませんしね。


私は、たまにウェザリングの練習のみで作品を作成しています。これは出来栄えを考えずに、手法のみを色々と試す為です。
ウェザリングで一番難しいのが、せっかくの作品を台無しにしてしまわないかと言う「恐れ」です。これを回避する為にも練習は大切です。乾燥してみないと分からない。トップコートしてみないと分からない。ウェザリングを重ねてみないと分からないと言う事も多いので。

マクロス「デストロイド・スパルタン」ドイツ軍グレー編/激しい汚れのウェザリング

 

目的に合わせたウェザリング

墨入れ

作品を見た際の情報量が多いとリアルに見えます。これに重要な処理が墨入れです。モールドと呼ばれるパーツの溝へ墨(黒系塗料)を流し込みます。とは言え、スケールに応じたバランスが大切。リアル感を出すか、メリハリ感を出すかで濃さや太さを調整します。

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●Mr.ウェザリングカラー・マルチブラックを使用。
ベースとなる色が濃い色など、場所によっては、マルチグレーを使用。
●Mr.ウェザリングカラー・グレイッシュブラウンを使用すると戦場っぽいリアル感が出る。
細筆で流し込んでいく。乾燥後、綿棒ではみ出た部分をふき取る。
・ボケた感じを出したい場合...専用薄め液を少量付けて綿棒で拭き取ります。ふき取った際の塗料ボケで雰囲気を出します。
・シャープな感じを出したい場合...はみ出た部分を消しゴムで消す。明確な色差が出せます。

— リアルタッチマーカーを使用する場合 —

●リアルタッチグレーを使いモールドに書き込む。
はみ出た部分を消しゴムで消す。
●リアルタッチマーカーをウェザリングのメインとする場合、スミ入れペンを用意した方が楽。

— 塗装前の墨入れ —

●エアブラシを使用する場合、塗装前に墨入れを行う事でくど過ぎない墨入れが行えます。

A-10 ThunderBolt「航空機模型の墨入れをしてみる」

— 総評 —

隠ぺい力はMr.ウェザリングカラーに軍配が上がる。

 

パステルシャドウ

パステルを塗り込む事で影や汚れを強調する手法です。塗り込みの濃度を使い分けることで、使用感を調整できます。ただし、パステルを使う都合上、定着の悪い光沢塗料や無塗装への塗り込みが難しい側面もあります。

— ウェザリングマスターを使用する場合 —

●ベースの色に合わせたウェザリングマスターを使用。
Bセットのススは、パステルシャドウで多用できます。
●墨入れの後に実施してください
●付属のスポンジでパーツのエッジ部分に塗り込んでいきます。
●トップコートで流れるので、流れる量を予想しながら塗り込んでください。
●塗りすぎた場合、消しゴムで消す事ができます。
●パステルを使用した場合も同様です

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●Mr.ウェザリングカラー・マルチブラックを使用。
ベースとなる色が濃い色など、場所によっては、マルチグレーを使用。
綿棒にMr.ウェザリングカラーを付け、パーツのエッジ部分に塗っていきます。ドライブラシの要領で行ってください。
●ウェザリングマスターと違い、トップコートでの保護は必要ありません。
ボカしの効果を出したい場合、トップコートを行うと良いです。
●くど過ぎないシャープなシャドウ(パステルシャドウとウェザリングの中間)を行うには、良い手法だと思います。この手法は雑誌とかでも見ないので、あまり使われていないのかな。

— 総評 —

パステルシャドウの面積により、使い分けています。

 

埃の流れやうっすらとした感じを出すのが難しい所ですね。やりすぎ危険なウェザリングです。

—Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●Mr.ウェザリングカラー・グレイッシュブラウンをエッジ部分に塗る。
●軽く乾燥後、綿棒で延ばしていく。
●専用薄め液を使い、埃のボカし加減や面積を調整していく。
●埃が溜まる部分には、流し込んで表現する。
●うっすらとした埃や泥の場合、筆にてウォッシングを行います。
●薄めると塗装直後は効果が見えません。乾燥してみないと分からないので、乾燥後に綿棒+専用薄め液で再調整もしてください。
●筆でウォッシングを行うと、色々と埃の表情を試す事ができます。これで慣れてから綿棒でのコントロールをすると良いでしょう。

— リアルタッチマーカーを使用する場合 —

●リアルタッチイエローやブラウンをエッジ部分に塗る
●綿棒で延ばしていく。乾燥が早いので注意。Mr.ウェザリングカラーに比べると時間的余裕が少ないです。
●ボカしペンを使い、埃のボカし加減や面積を調整していく
●失敗した部分は消しゴムで消す事ができる

— 総評 —

広い面にはMr.ウェザリングカラーが楽。細かい部分にはリアルタッチマーカーが楽。

 

泥汚れ

戦っている訳ですから、そりゃ泥も付きますよね。ジオラマを作る場合には余計です。

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●薄い泥汚れを表現する際に使用。
●グレイッシュブラウン、ステイブラウンを使用。
●筆でペタペタ塗ってください。乾燥前に溜まった塗料の部分が泥になります。
●ボカせば泥埃になります。
●泥汚れは塊感が大切。乾燥を確実にさせてください。
●乾燥後に綿棒で延ばして整えてください。

— Mr.ウェザリングペーストを使用する場合 —

●固まった泥汚れを表現する際に使用
固まった感が大きい塗料なので、Mr.ウェザリングカラーと併用が楽
●筆でペタペタ塗ってください
●乾燥後、塊となってくれます。艶消しとなります。
●Mr.ウェザリングペースト ウェットクリアーを混ぜることで、水分を含んだ質感とできます

— 総評 —

ジオラマでもない限り、Mr.ウェザリングペーストの出番は無いかと思います。ただし、ジオラマの場合で固まった泥汚れを表現する際には、Mr.ウェザリングペーストは必須と言えるでしょう。写真の地面はウェザリングペーストで作成しています。

 

油汚れ

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●マルチブラック、ステイブラウンを使用。
●油が固まっている個所へ流し込んだり、筆塗りしてください。
●乾燥前に綿棒でボカすと染みの感じを出すことが出来ます。
Mr.ウェザリングペーストのウェットクリアーを混ぜることで、テカった油汚れにする事が出来ます。
●パステルを混ぜて塗装すると、アクセントをつけることができます。
●微妙な艶感が大切になります。艶消しでトップコートを行うと、消えてしまうので最後に行ってください。筆でチョンチョンと光沢クリアを載せてアクセントも良いですね。

— 総評 —

ガンプラの場合、スケール的にあまり使わないテクニックですね。

 

塗装剥がれ

●ドライブラシ、スタンピング、細筆での塗装にて行います。
●ドライブラシの方法
①塗料を筆に取った後、キッチンペーパーやペーパーナプキンで余分な塗料を拭き取ります。
②筆の塗料がが乾いてきたら、パーツのエッジや凸モールド周辺へ擦りつけるように筆を動かしていきます。
③乾燥具合にて、薄い効果か濃い効果かを調整します。

●とてもとても塗装が剥がれるであろう、足の裏で試してから他部分へ行うといいです。

●スタンピングについての説明はこちら

プラモデルの錆塗装が簡単にできる「スタンピングスポンジ」チッピング手法

 

薄い錆

私は錆させるのは大好きです。ですが、ザク等の超硬スチール合金は錆るだろうなあと思うのですが、ガンダリウム合金って錆びるのかな?と疑問もあります。が、見たこともない金属です。ここは無視して思い向くまま錆て頂きましょう。

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●ステイブラウン、ラストオレンジを使用。
溜まった錆はステイブラウン
薄い錆はラストオレンジ
※ラストオレンジは乾燥が遅いので注意が必要
●錆としたい個所へ流し込んだり、筆塗りしてください。
●溜まった塗料の部分が濃い錆になります。
乾燥後に綿棒で整えてください。錆の垂れやシミを表現する感じです

— リアルタッチマーカーを使用する場合 —

●リアルタッチブラウンを使用します
●チョンと塗って、すぐに指でスッとなぞると錆垂れの表現が行えます。錆や汚れの方向を考えてスッとしてください。
●失敗しても消しゴムで消せるので、気軽に行えます。

— ウェザリングマスターを使用する場合 —

●基本的には薄い錆しか表現できません
●モールドやパーツの凹みに塗り込む事で固まった錆にする事ができます。が、乾燥するとポロポロ落ちるので過度は難しいです。またトップコートによる保護も必要です。
●付属のスポンジで塗り込みながら、範囲を整えてください。
●小さい面には難しいです

— 総評 —

どれが良いとかは無く、状況によって使い分けています。使用頻度としては、Mr.ウェザリングカラー > リアルタッチマーカー > ウェザリングマスターの順となります、

 

濃い錆

この辺りまで来ると産廃ですね。とは言え朽ち果てる機械って言うのも趣があります。

— Mr.ウェザリングカラーを使用する場合 —

●まずはシルバーを塗装するか、ドライブラシ、スタンピングしてください。
●塗料はステイブラウン、ラストオレンジを使用します。
・溜まった錆はステイブラウンを塗装。
・薄い錆はラストオレンジを塗装。ラストオレンジは乾燥が遅いので注意が必要です。
スタンピングでのウェザリング実施
・スポンジを使用してスタンピングを行います。
・点の錆や小さい錆を表現する事ができます。
・スタンピングはドライブラシの応用です。
①スポンジにMr.ウェザリングカラーを付け、ティッシュ等にポンポンとします
②スポンジの塗料にベタ付きが無くなったら、パーツへスタンピングを行います。
③なかなか塗料が付かない感覚がありますが、根気よくポンポンしてください。
筆塗りでのウェザリング実施
①筆でMr.ウェザリングカラーを塗装してください。塗料を乗せる感じにすると良いです
②多めの塗料を乗せることになるので、乾燥には時間が掛かります。私は1日放置しています。
③カチカチに固まった塗料を、専用薄め液と綿棒を使って剥がしていきます。
④この剥がす際に、塗料が取れたり残ったりする事で良い感じの錆感が出ます。

— リアルタッチマーカーを使用する場合 —

●リアルタッチブラウンを使用します。
●リアルタッチマーカーは塗料の厚みが無いので、濃い錆には向いていません
●錆色を増やしたい場合。ちょっとした修正や追加に使用します。

 

錆のウェザリングについては、こちらでも解説をしています。

錆の表現塗装①「チッピング」
錆の表現塗装②「めくれた錆」
錆の表現塗装③「大きな錆」

 

塗装の退色

塗料も日焼けにより退色します。それによる効果を退色処理と言います。ガンダムの世界観でそこまで塗装が退色するのかという話もありますが、地上戦で辺境ならありそうですね。となるとザクは似合いそうです。何でもザクです。ザクがイイと思います!

— エアブラシを使用する場合 —

●塗装色より少し薄い塗料。もしくは白を薄めの塗料で軽くエアブラシします。
●塗装面の日焼けですので、パーツの上の方から行います。

— ウェザリングマスターを使用する場合 —

●塗装面に合わせた色のウェザリングマスターを使用します。もしくは、ウェザリングマスターBセットのスノーを利用。
●塗装面の日焼けですので、上の方から行います。パフで塗り込むので、上は濃く下は薄く行います。

退色処理については、こちらでも解説をしています。

塗装焼け「バイアラン・カスタム」MAX塗りと組み合わせたウェザリング

塗装焼け「バイアラン・カスタム」MAX塗りと組み合わせたウェザリング

 

まとめ

如何でしょうか。色々とありますね。この写真は最近の満足作です。が、せっかくのウェザリングも半分以上は脚部スカートに隠れると言う残念な結果に・・・。爪が甘いですね(´・ω・`)

この写真の様に、ウェザリングを重ねて情報量を増やすと言う事が大切になります。ですので、どの手法が良いというよりも数を重ねられる様にする為、まめなトップコートが重要と言う事になるでしょうか。

では、楽しく産廃物に仕上げましょう。

 

 

 

 

 

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